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2011.08.29 *Mon*

帰り道

プルルル・・・
何回目かのコールの後、繋がった先の相手はしばし無言だった。
ようやくしぼりだしたような低い声で、
「・・・なに?」
と問われる。
あは。
すっげぇ不機嫌な声。
「修二くんの声聞きたかったのー」
「は?・・・今までいっしょにお好み焼き食ってただろ」
「だね」
夕暮れの街のなか、欄干に体をあずけて、前に止めた自転車ごと自分の影が車道にまではみ出るくらい長くのびているのを見遣る。
髪からも制服からも、べったりと染み付いたお好み焼き屋の匂い。
油と煙と焦げたソースの匂いの三つ巴ブレンド。
夕陽に照らされて茶色に透ける修二の髪も今同じ匂いがしてると思うと、ちょっと口の端が緩む。
ちなみに、修二は“いかたこ明太子ホタテ”を、俺は“チーズもちとろろ”を食べました。
自分が食べたいのを頼むけど、はんぶんこするのが暗黙の了解になってるから、
お互いに相手もこれを食べたいんじゃないかなっていうやつになるんだ。
家へと帰る道、俺たちはいつもの分岐点で、いつも通りさよならも言わずに別れて、そこから、たぶんまだ1分も経ってない。
「切るよ?」
怒ったような声。
でも、ほんとに怒ってるわけじゃないんだよね。
「草野?」
携帯をあてた、修二の声が届く右耳があったかくなるのを感じる。
「不機嫌な声だけど、修二くんの声が聞けたからよしとするなり。じゃあね」
ポチッとな。
携帯を耳に当てたまま、親指で切断ボタンを押して、修二の返事も待つこともなく一方的に電話を切った。
「いーち」
ツーツー・・修二はしばらく途切れた後の電子音を聞いているだろう。
「にー」
指先が白くなるくらい携帯を握り締めて、
「さーん」
思いっきり眉根をよせて、視線が右に揺れ、左に揺れ、
「よーん」
天を仰ぎ、大きく息を吐き、
「ごーぉ」
右手の中の携帯が、小刻みに揺れた。
「やっぱり修二くんだっちゃ」
「・・んだよ」
「かかってくると思った」
「るせぇよ」
声だけいっしょの帰り道。

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